2020/09/04
当社開発中の「仕切板構造を持つ省エネルギー型MBR※(以下:B-MBR)による単槽式硝化脱窒法の実用化研究」は、大幅な消費電力量を削減可能なMBRシステムとして2019年7月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の戦略的省エネルギー技術革新プログラムによる助成事業に採択され、前澤工業(株)・北海道大学・中央大学での研究を開始しました。2019年12月より埼玉県のフィールド提供型共同研究(前澤工業(株)・埼玉県・埼玉県下水道公社)として埼玉県中川流域下水道中川水循環センターに処理水量約400m3/日の実験設備を建設し、2020年7月よりB-MBRの実験を開始しました。
※MBR:膜分離活性汚泥法
従来のMBRはろ過膜により固液分離を行う活性汚泥法で、反応タンクのSS濃度が高濃度になることから硝化が促進されることを利用して窒素除去を行える循環式硝化脱窒型が採用されています。循環式硝化脱窒型MBRは無酸素タンクと好気タンクを必要としますがB-MBRは膜ユニットを仕切板で囲むことで分断状態と越流状態を交互に行うことで効率的な硝化・脱窒運転を行います。
1つの槽内で硝化・脱窒を行うため、曝気風量の削減や循環式ポンプを不要にすること及び、膜ユニットに強度が強い3mの長尺なPTFE膜を使用することで、膜の洗浄に必要な空気量を削減することが可能となり、高い省エネルギー性を実現しています。
埼玉県中川流域下水道中川水循環センター内に処理水量約400m3/日規模のB-MBR実験設備を建設し、7月より実験を開始しました。実験設備では、B-MBRの特徴である単一槽内での撹拌状態や曝気風量削減の検証、最適な制御手法の確立、AIを使用した画像認識検知技術の開発等を進める予定です。